おはようございます。
いつもありがとうございます。
先日セブ島で起こった大韓航空のA330オーバーラン事故について、続報が入ってきたので急遽お伝えします。
2回ゴーアラウンドしたそうですが、その2回目はどうもウインドシアー(風向、風速の大きな変化)によってゴーアラウンドする途中にメインギアが滑走路にかなり強めに接地したとのことでした。
その後に「ブレーキに関する警告灯」が点灯した、ということで管制に「緊急事態」を宣言したと書かれています。
3度めの進入では客室内でも緊急着陸のアナウンスがなされていたそうです。

3度めの着陸時に「ブレーキ圧に関する警告灯」が点灯し、減速できずオーバーランに至ったということが新たにわかりました。
この事実から推測できることは、2回めの強めの接地によって油圧系統に不具合が発生したのかもしれないということです。
しかしそれだけでは着陸後に減速できなかったことの説明はできません。
なぜならエアバス機には、「LOSS OF BRAKING」という手順があります。しかもメモリーアイテムといって、手順は暗記して即実行できなければなりません。
ブレーキが作動しなければMAXリバース(逆噴射)を使って違う系統のブレーキを作動させ、それでも駄目ならパーキングブレーキを使え、という手順です。
つまり、他にある3つの減速手段を使うということになります。
今回、リバース(逆噴射)も作動していたかったこと、またギアドア(メインギアの扉)がオープンしたままであった、という情報があります。
これらを考えると、複数の油圧系統のダメージと同時にブレーキシステム自体の故障の可能性も出てきます。
今回減速できなかったという状況が、上記の手順を踏んでも不可能であったならばパイロットとしてももう何もできません。
通常、航空機は複数のシステムの同時故障というのは想定していないからです。
仮にこのような絶望的な状況で、一名の死者も出さずに着陸させたのであればパイロットは素晴らしい仕事をしたことになります。
今後事故報告が出るのはかなり後になるかもしれませんが、また新しい情報が入ればブログに書きたいと思います。
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