おはようございます。
いつもありがとうございます。
昨日は航空無線施設の「VOR」について概要をお話しました。
皆さんの家の近くにもありましたか??
VORは空港でアプローチに使うほか、航空路を形成する役割も担っています。
今日はこのVORを使った空港へのアプローチ方法を紹介しましょう。
松山空港を例に挙げて説明します。
VORアプローチは14側に設定されています。
こちらがアプローチチャートです。

なかなか見てもわからないかもしれませんが、これは松山空港に設置されているVORDME上空を通ってグルっと海側まで出ながら高度を処理し、松山空港14に着陸する方式です。

便宜上アプローチチャートを上下に分けましたが、こんな感じで松山空港上空を5000feetで通過すると、336°方向(北西方向)に約11nm(20km弱)飛行しながら2100feetまで降下します。
11nm進出するまでに左に回って140°方向(南東方向:滑走路方位)、松山VORDMEの140°コースに乗ります。この最終コースに乗ると、1300feetまで降下できます。
松山VORDMEから5nmのKOFJIというポイントが最終進入開始ポイントです。
ここをすぎるとSDFというところまでは780feet,それを超えて最終降下高度の470feetまで降下する、という感じです。
なかなか難しいですよね。
このように、各セクターごとに指定高度まで降りては水平飛行し、また降りてまた水平飛行、という方法を取る方式なので忙しいですし、各セクターの降下制限高度がたくさん設定されているのでパイロットとしてはかなりワークロードが増えます。
最近では、一定のパス(降下角度)で降りながらこの制限高度をクリアしていく方法が主流になっています。
ここで注目は、左下の項目です。
「MDA:470 RVR/CMV1500 or 2000」となっていると思います。
これが松山空港VORDME14アプローチにおける「ランディングミニマ」です。
RVR/CMVというのは視程ですから、旅客機の場合は視程が2kmないと着陸できないことになってしまいます。
また、MDAというのは計器を見ながら降下していく最終高度なので、例えば300feetまで雲がべったりな状況だとその上である470feetまでしか降下できないので滑走路が見えません。よって着陸できません。
VORアプローチは明日以降ご説明するILSアプローチと比べて、ミニマが高く(つまり悪天候で降りられない確率が高い)なっています。
その理由としては
・VOR自体の精度の問題
・計器上に自機のVORに対しての位置は表示されるが、降下パス(垂直方向のガイダンス)が表示されない
・そもそもVORが着陸しようとする滑走路の延長線上にない
ことが挙げられます。

(赤丸が松山空港のVORDMEです。滑走路の南側に配置されていますね)
とはいえ、日本中の空港でILSが使えない場合にはVORアプローチを行うこともあります。
手順が煩雑で、ミニマが高いVORアプローチですがパイロットはこのアプローチでも安全に着陸できる技術は当然ながら持ち合わせているので、ご安心下さい。
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