空間識失調とは

Morgenrot – 現役パイロットによる航空のお話 – DMMオンラインサロン現役の国内航空会社旅客機で機長を務める代表と、副操縦士によるオンラインサロンです。 飛行機の不思議や豆知識、パイロットのマネージメント、危機管理、運航の現場の裏側など航空ファンにはたまらない内容をお届けします。lounge.dmm.com

おはようございます。

いつもありがとうございます。

今年の1月31日に起こったFー15戦闘機の墜落事故について、下記のような記事が出ました。

異変に気付いたのは“墜落の2秒前”…空自F-15墜落事故 パイロット2人とも平衡感覚失ったか(石川テレビ) – Yahoo!ニュース パイロットが異変に気づいたのは墜落の2秒前でした。今年1月、小松基地を離陸したFー15戦闘機が墜落した事故。航空自衛隊は分析の結果、機体の不具合ではなくパイロットが平衡感覚を失ったことで墜落したとnews.yahoo.co.jp

この中で「空間識失調」という言葉があります。

これはどういうものかというと、人間の「感覚」が実際の飛行機の動きと異なる状況のことです。つまり、「自分が今ある状態を誤認識してしまうことです。

錯覚の一つです。

たとえば、回転椅子でずっと同じ方向に20回ほど回転した後は真っすぐ歩けませんし、まだ回転しているような感覚を覚えます。

これも人間の感覚と実際が一致しない例です。

上空では雲の中で穏やかに旋回をした後急に逆方向に舵を切ると、水平に戻っているのにそうではない感覚になったりします。

もし外が見えていれば地平線が認識できるので、すぐに自分の感覚と飛行機の姿勢を見比べてその感覚を修正できます。

しかし、雲の中だと地平線が見えないので、感覚のまま操縦操作を行うと飛行機は墜落してしまいます。

私達旅客機のパイロットは、最初は雲の中を飛行できない「VFR」という飛行方式で訓練します。その後「IFR」といって雲の中でも飛行できる免許を取得する際に、このような知識取得と訓練を行います。

たとえば軽飛行機で横の教官が、「では目をつぶって下を向いてください」といいます。

教官が操縦して、訓練生をこのような「空間識失調」に陥らせるような操作をして、その後「では目を開けて外を見ずに中の計器だけで修正してください」と言います。

私達は自分の感覚を信用せず、コックピットの中の「小さな水平線」を頼りに飛行機を水平飛行に戻します。

雲中で空間識失調に陥った場合は、人間の感覚を信用せずに「計器」を頼りにして飛行機をコントロールすることが重要です。

今回の場合戦闘機ですので私達が操縦士した軽飛行機とは動きも違いますが、「空間識失調」がより起こりやすい状況であったんだろうと推察できます。

飛行機の操縦において、「感覚」は非常に重要です。しかし同時に、人間がどうしても陥ってしまう「錯覚」を知り、その対策を講じることもまた重要であると言えます。

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