皆さんは、非常脱出訓練をご存知でしょうか?
一般の方も体験できる珍しい訓練となっています。
https://www.jal.com/ja/csr/soraiku/programs/anzen/
この訓練、客室乗務員だけかと思われるかもしれませんが私達パイロットも行っています。
なぜパイロットも?と思われるかもしれませんが、しっかり規定されています。
なかなかややこしいのですが、我々航空運送事業者には「運航規程」というものを規定することが定められていて、その「運航規程」の中に細かく「どんな訓練を実施するか」についても書かれています。
その中にある「定期訓練」の項目の一つにこの「非常救難対策訓練」というものがあるんです。
どんなことをするかというと、航空会社によって異なりますが大体は
・消火器など非常用装備品の使用方法
・保安に係る教育
・CRM教育
・スライドを使った脱出訓練
・客室乗務員との合同シナリオ訓練
となっています。
特にご紹介したいのが、客室乗務員との合同シナリオ訓練です。
実機やモックアップを使って行なわれるこの訓練は、例えばまさに「ハドソン川の奇跡」のような状況を模擬します。
一部のパイロットと客室乗務員が実際にCREW役をやり、その他はお客様役です。
幼児を連れていたり、言うことを聞かない人を演じたり。。。
客室乗務員は全てのお客様を安全に、一定の時間内(90秒ルールというのがあります)に脱出を完了させる必要があります。
客室乗務員の大声での「こっちへ来て」「荷物は置いて」というエールは、初めて見た時はとても驚いたものです。
客室乗務員は保安要員です。彼らの「人命を救う」という意識は私達パイロットと同じものを感じました。

そして脱出の際にスライドを滑るのですが、スライドを滑るのもコツが必要です。
機種によってスライドの角度や幅が違うため、必ずしも大型機が高いところから滑るから速度が出て危険、ということではありません。
実際ボーイング777は最後の方は止まってしまうほどですが、ボーイング737は最後まで急です。
過去、実際運航していて緊急脱出を行った際に負傷者が出たという事例が数多くあります。
その多くの原因が
・滑り終わった後の補助者が不在であった
・荷物を持っていた
という理由によるものです。
「正しい姿勢で、荷物を持たず、滑り終わったら後続の人の補助をする」
ということを実際に学ぶためにも、航空会社の主催する脱出訓練に興味を持って頂ければ嬉しいです。
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