
伊丹空港の話題が続きますが、パイロットとしてなかなか大変な空港でもある伊丹空港。今回は滑走路の運用についても特別なところをご紹介します。
伊丹空港には2本の滑走路があります。地形の影響で一年のうち殆どが32運用です。32Lは3000mの滑走路ですが、32Rは1828mしかありません。
機種によってどちらの滑走路を使用するか決められていますが、私の乗務していたB737は最初32R着陸の指定でした。
B737でも1828mへの着陸はなかなかの緊張です。着陸時に展開するFLAPは、B737はF30とF40の二種類あるのですが、32Rでは最短停止距離が求められるのでF40という深いフラップ角度で着陸していました。
また、32Rは進入中の気流が悪いことで有名な?伊丹の中でも特に気流が悪いです。
離陸に関しても特別です。
普段は機体の重量によってエンジン出力を制限した離陸推力を設定しています。
長い滑走路の場合や、乗客が少なく機体が軽めの場合、エンジンの保護目的でMAXパワーはほとんど使いません。
伊丹の32Rの場合は滑走路が短いので、MAXで離陸することが多かったです。
エンジン音や加速力が普段より大きく、驚かれる方もいらっしゃいます。
その他にも伊丹空港は、騒音制限が厳しいので32Lは基本的にW2からしか離陸しないとか、夜間は着陸時の逆噴射を最小限にすることや、空港の運用時間も厳格に定められているなど、伊丹スペシャルな手順がたくさんあります。
独特な管制用語、離陸コースのモニタリングもまた伊丹が「特別」と言われる所以です。
日本の中でも特殊な伊丹空港、これからもその進化が楽しみです。
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