DHC8-Q400パイロットと話をして、次のような答えがでました。
「耐空性審査要領」というものがあります。
航空機は「耐空証明」を受けてなければならず、そのための検査を「耐空検査」といいます。
耐空検査には、その基準が存在します。
「航空機及び装備品の安全を確保するための技術上の基準」=「耐空性審査要領」となります。
ちょっとややこしくてすみません。
簡単に言うと、自動車の車検がありますよね。
自動車の保安基準があって、それに従って自動車メーカーは車を製造します。
車に乗り続けるためには2年に一回の車検を受け続ければならず、その際に「車検に通るか」の基準の一つが保安基準です。
例えばウインカーレンズが割れていたり、発煙筒を装備していなかったりすると車検には通りません。
それと同じで、飛行機の「車検」にあたるものが「耐空検査」と思っていただくとわかりやすいかと思います。
「耐空性審査要領」に従って製造された飛行機が、引き続きその基準を満たしているのかを確認するために「耐空検査」を行う、という感じです。
説明が長くなりましたが、その「耐空性審査要領」の中に、巡航高度FL250(便宜的に25000feetとします)を超える航空機と超えない航空機で、酸素マスクの要件が変わってくる記載があります。
国の規程なのでとても分かりにくく書かれています。
要約すると、
「全ての旅客に酸素マスクを装備する必要があるのは巡航高度25000feetを超える旅客機です」
なんです。
現在日本で運航しているDHC8-Q400の最大巡航高度は25000feetです。
なので、現在日本で運航しているDHC8-Q400には客室頭上に酸素マスクがないのです。
ちなみに海外では27000feetまで巡航できるDHC8-Q400もあるそうで、その旅客機には客室頭上に酸素マスクが装備されているそうです。
(なお、全てのDHC8-Q400のコックピットにはまた「耐空性審査要領」により酸素マスクが装備されています。)
続いて湧いてくる疑問が、「法律上はそうだけど、実際に低酸素症にならないの?」という不安です。
低酸素症については、明日ご説明します。

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