おはようございます、昨日はPitot系統の防氷について書きました。
今日はその他の防氷について。
まずは操縦席の窓についてはWindow Heatといって、これも常に加熱しています。
もちろん着氷防止の理由もありますが、もうひとつ、バードストライクなどによる破損防止の役割も兼ねています。
操縦席の窓は何枚かに分割されていますが、側面窓のHeatingについては会社によってオプションのことがあります。
そして、一番大きいのは
「Engine Cowl Anti-ice」
および
「Wing Anti-ice」
です。
前出のAnti-iceが電気を使うのに対して、この2種類はEngineのブリード(ホットエア)を使用します。
「Engine Cowl Anti-ice」は、防氷および除氷で使用します。
エンジンの空気取入口付近だけ金属のシルバーが露出していますよね?あの部分がHeatingされます。
飛行中でも最も頻繁にOn-Offを繰り返すものです。
B777やB787はこれがオートで作動するようですが、B737もA320も手動です。
基本的にPM(操縦していない方のパイロット)が外を見て、外気温をみてオペレーションをします。
エンジンの空気取入口に氷が付着すると、その氷の塊がエンジンに取り込まれてしまいます。そうすると・・・最悪エンジン破損につながる可能性があります。
そして「Wing Anti-ice」です。
これは翼の前縁をHeatingするものですが、主に除氷に使用します。
つまり、付着した氷を取り除くのに有効ということです。
シビアな着氷状態の中をフライトしていると、徐々に主翼前縁に氷が付着してきます。コックピットでも、ワイパーの根本が凍ってきたりIce-Detectorが装備されていればそれが凍ってきたりします。それが合図のようなもので、「Wing Anti-ice」を作動させます。
ちなみにProp機や小型機では、前縁がゴムのようなブーツとなっています。主翼前縁が黒い飛行機がありますね、あれです。物理的に氷を吹き飛ばす仕組みです。
いずれのAnti-iceもエンジンのブリード(エンジンからのホットエア)を使用します。
故に、燃費の悪化もあります。
適切な使用が求められるところでもあります。
コックピットで操作するAnti-iceについては、以上になります。
まとめると、
・Pitot系統
・コックピット窓
・Engine
・Wing
それだけ?と思われるかもしれませんが、
「着氷するとオペレーションに重大な影響を及ぼす」
場所のみにWeatingが施されている、とご理解ください。

これから冬場に飛行機に乗られる場合、「今日はWing Anti-ice使用するかな?」と思いながら主翼前縁を見ていただくと、少し白くなってきたと思ったら一気に下のシルバーに戻る瞬間があるはずです。その一瞬は私も見たことがありませんが、もし気づかれたらすごい観察力です!
さて、明日からは過去の事例を見ながらこのAnti-iceの重要性を考えていきたいと思います。
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