機長と副操縦士のイメージ〜CRM②

今回は、「意思決定(Decision Making)」についてお話したいと思います。

機長と副操縦士、また場合によっては客室乗務員や会社の運航部門も巻き込んで「意思決定」を行わなくてはならない場合があります。

例えば「ダイバート」(目的地変更)の場合を見てみましょう。

私はこの夏、着陸に向けて進入中に予想されていなかった「CB,TCU」(積乱雲、塔状積雲)が空港周辺に発生していることがわかりました。

発雷を伴う積乱雲で最も危険なものは「マイクロバースト」という風の急激な変化です。これが原因で墜落した事故も何件もあります。

こんな状況では、パイロットの間では「意思決定」のプロセスが大変重要です。

他機の状況や天候の傾向を判断してお互いの意見を出し合い、更に会社からも情報をもらい、ダイバート先を決定します。

近隣であればどこでも良いというわけではなく、各会社ごとにハンドリング体制が違うため、再出発に際しての旅客や燃料の取り扱いも考えてダイバート先を考えています。もちろん残燃料とも相談です。

この意思決定で大切なのは、「決定、行動後のレビュー(Critique)」です。

常にこの判断に誤りはないか、最良のものかを見直し続けることが大切です。

そうすることによって、お互い見つけられなかった新たな問題点が発見され、意思決定したものを手遅れになる前に変更することも可能です。

今回のダイバートでは、パイロット二人で「これは今進入するとダメそうですね」という共通認識を持ち、まずは「燃料は余裕がありますので少しホールドをもらいながら、他空港の天気を会社からもらいましょうか」とお互い納得した意思決定をしました。

実際そのように行動しながら、その意思決定を客室乗務員やお客様に伝えるとともに、その先のダイバート先について二人で意見を出し合い、最終的に機長が「では○○空港にダイバートしましょう」と決定をし、他の乗務員はそれに備えた準備をすることになりました。

その後、ダイバート先に飛行を続けながら、「ダイバートの意思決定に何か問題はないか、もしダイバート先で予想されない事態が起こったらその先のことまで考えて近い代替空港も考えておくか」と話をしながら、代替の代替空港まで天気を確認する、といった「レビュー」を行っていました。

もちろん、機長が誰の話も聞かないワンマンな人ならば副操縦士の意見を聞いたりもしないでしょうし、副操縦士も何も考えずただ従うだけです。

適切な「権威勾配」を保ちつつ、思ったことを口に出しやすい雰囲気を作ることも機長の職務です。そのあたりは次回に説明します。

日常生活でも、意思決定までのプロセスも大事ですが、それ以上に「Critique」を行いまた意思決定プロセスに戻る、というサイクルを繰り返すことがとても重要です。

「3人寄れば文殊の知恵」といいます。それぞれがこの「意思決定サイクル」を理解して実行することで、望まれない結果にはならないことでしょう。

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