みなさん、コックピットの中ではどんな会話が行われているかご存知ですか?
国内線でも3時間をこえる路線もあるなか、コックピットではパイロット2人だけ。
果たしてどんな雰囲気なのか?
昔から、機長はとても偉くてその隣に座る副操縦士は萎縮してしまっているイメージが持たれています。
実際、1970年代まではまさにそんな雰囲気でした。
機長には誰も口を出せない、機長がやると言ったら誰も止められない。
それで事故がたくさん起こりました。
どれだけ偉い人でも、ミスを減らすことは出来てもゼロにすることはできません。
人間である限り、ミスは必ず起こすものです。
CRMとは、そのような前提に立ってチームとして様々なリソースを効率的に利用することで安全な運航を達成しようというCrew Resource Managementの考え方です。
この考え方が導入されて以降、ヒューマンエラーと呼ばれる人的原因での航空事故を減らすことが可能となりました。
このCRM、航空業界以外ではあまり知られていませんが、会社の組織に属す上で、上司や部下が持つべき行動指針がまさにこれです。
残念ながら現在でも上司のパワハラやチームワークを乱す人、状況認識能力に乏しい社員がいて、本来はもっと良い成果を短時間で出せるのにもかかわらず、好ましいチーム運営が行われないがためにもったいない状況におかれている組織がどれだけ多いことか。
今回はその中で「コミュニケーション」の視点から、機長と副操縦士の間で必要な「アサーション」について取り上げます。
「アサーション」とは、「機長、これ間違ってますよ」とか、「機長、こうしたほうがいいんじゃないですか?」という主張です。
そんなこと言ったら機長怒らない?と思いますが、CRMを学んでいる今のパイロットは、「おー気づかなかった、ありがとう」となります。
機長はその「アサーション」を受けやすい雰囲気、言いやすい雰囲気を作ることが重要ですし、副操縦士も積極的に「アサーション」をしようという気持ちを持たなければなりません。逆もそうですが、やはり部下から上司へのアドバイスのほうがし辛いですよね。
ということで、コックピットの中では「良好なコミュニケーションをはかる」ことを目的に、互いにアドバイスやアサーションしやすい雰囲気作りに努めています。
昔のイメージである「ピリピリ緊張感の絶えない雰囲気」ではありません。
たまにCRMはどこいった?の人もいますが、それはどの会社でも同じですね。
ただ、パイロットはこのCRMについて毎年学習しており、少なくともコンセプトやあるべき姿については理解しています。知っているのと知らないのでは大きく違う、それがCRMです。
またその他の項目についてもご紹介します。
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