もしパイロットが一人になったら?

今回はINCAPACITAIONについてお話します。

インキャパと言いますが、定義は「運航乗務員が生理的あるいは心理的影響により、職務遂行能力が低下、あるいは全くなくなる状態」とされています。

これには2種類あり、

Obvious Incapacitaion:明確に分かるもので痙攣や心筋梗塞、意識を失うなど。

Subtle Incapaciation:外見から判断されづらいもので腰痛や頭痛によるものまで。

特に2つ目のSubtleについては本人も他人も気づきにくいものです。

昔「Good Luck!」というドラマで、岩城滉一演じる機長がヘルニアで操縦できなくなり、副操縦士のキムタクに着陸を任せる、という場面がありました。

あれもSubtle Incapacitaionになります。

「Good Luck!」ではキムタクはギアを忘れる、という驚くべきミスを犯しかけましたが、実際にはありえないといっていいと思います。

私達パイロットは、年に一回「INCAPA訓練」を行っています。

隣のパイロットが上記のうちどちらかの状態になり(演技です)、ひとりで管制や会社、キャビンとコンタクトを取って着陸までさせる、というものです。

私も先日、その訓練をしてきました。

基本的に一人でも操縦はできますので、全く問題なく着陸まですることが出来ます。

むしろ普段2人で確実なオペレーションをしているので、一人でパパっと着陸させられるこの訓練はなかなか興味深く、勉強になります。

もちろん副操縦士も同じ訓練をしますので、副操縦士が一人になっても同様に安全に着陸は可能です。ギアダウンも忘れないでしょうし、最悪忘れてもGPWSが「Too Low,Gear」と警告を発するので大丈夫です。

現在、日本では67歳までパイロットとしてフライトすることができます。

ベテランパイロットにはより厳しい身体検査が課せられていますし、健康管理も皆さんとても気を使っていらっしゃいます。

歳を取ると通常身体的能力が衰えますが、ベテランパイロットの持つ知識、経験、そして操縦技術はまさに「目からウロコ」で、改めて技術職の奥の深さを感じるところです。

しかし、年齢関係なく上記のような「インキャパ」は起こり得ることです。

万が一の場合でも、お客様に安心して乗っていただけるように訓練を重ねていることを知っていただければと思います。

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